
相続登記をしないまま長期に放っておくと、相続人にさらに相続が発生するなどして、
遺産分割協議に加わる人の数が増え、協議がまとまりにくくなることがあります。
以上の理由から相続登記は早めに済ませるのが賢明でしょう。


登記は、従来、登記で利益を受ける人(登記権利者という)と、利益を失う者(登記義務者という)が登記所に出頭して申請することになっていましたが、平成17年3月7日施行の新不動産登記法によるオンライン申請の導入に伴い、この出頭主義が廃止され、書面申請についても、郵送による申請が受け付けられるようになっています。

登記は、登記権利者と登記義務者が共同で申請するのが原則です。しかし、共同申請の例外として、相続による登記は相続人だけの単独申請が認められています。なお、遺贈の登記については共同申請になります。
登記所 とは、登記に関する事務を取り扱い、登記簿その他の帳簿や図面を管理している役所です。しかし、登記所という名称の役所は現実には存在しません。実際には、法務省の下部機構として、全国に8か所の法務局があり、その下に地方法務局、それらの支局もしくは出張所が配置されていて、ここで登記所としての事務を行っています。
たとえば、「大阪法務局○○支局」「大阪法務局○○出張所」という役所で登記事務を扱っているのです。

相続に関する登記には、次の三つのケースがあります。
① 法定相続分どおりの相続登記
② 遺産分割協議による相続登記
③ 遺言書による相続登記または遺贈登記

遺産分割する前の状態は、共同相続といい、共同相続人が法定相続分の割合により遺産を共有していることになります。
法定相続分どおりの共同相続登記は、共同相続人全員が共同して申請するのが通常です。
しかし、共同相続人の中の一人が全員のために申請することもできます。ただし、共同相続人の一人が自分の持分だけを相続登記することは認められません)。この登記は、後日遺産分割協議がまとまったときには、持分移転の登記を行ない、実体に合ったものにしなければなりません。
※登記実務上は、共同相続登記を省略し、遺産分割をしたのちに、直接被相続人名義から不動産を取得した相続人名義に相続登記を行なうことが多い。

遺産分割による場合は、分割のやり方によって相続人の一人の単独所有になる場合もありますし、相続人の何人かの共有とする場合もあります。
この登記は、前記の「共同相続の登記」がなされているかどうかかによって方式が異なります。
●共同相続登記がされている場合
・・・遺産分割による「持分移転登記」 -共同申請。
●共同相続登記がされていない場合
・・・相続による「所有権移転登記」 -単独申請。

遺言があれば、遺言の内容にしたがって相続登記又は遺贈登記することになります。
●公正証書遺言以外の遺言は、家庭裁判所で検認の手続きが必要です。
●相続登記するためには、原則として遺言書に「△△に相続させる」と記載されていることが必要です。
●遺言書に「△△に遺贈する」とか、「△△に与える」とかになっていれば、「遺贈の登記」をすることになります。この場合には、登記権利者 (受遺者)と 登記義務者 (相続人又は遺言執行者)とが共同申請することになります。遺言執行者が遺言で指定されていないときは、相続人全員が登記義務者として申請することになります。


●登記申請書 ※認印でよい
●被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍・現戸籍)
●被相続人の住民票の除票(本籍地の記載のあるもの)
※登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合戸籍の附票も必要
●相続人全員の戸籍謄・抄本)
●不動産を取得する相続人の住民票の写し
●相続不動産の固定資産税評価証明書
●相続人の委任状(代理人により申請する場合) ※認印でよい
●相続関係説明図(戸籍謄本、除籍謄本等の原本還付を受けるため)

●遺言書がある場合は、遺言書
●遺言執行者の指定がある場合は、遺言執行者の印鑑証明書
●特別受益者がいる場合は、特別受益証明書および印鑑証明書
●相続放棄をした人がいる場合は、相続放棄申述受理証明書
●遺産分割協議をした場合は、遺産分割協議書及び相続人全員の印鑑証明書
●調停又は審判に基づいて相続登記を申請する場合には、調停調書又は審判書(確定証明書付き)の謄本
●相続欠格者がいる場合は、確定判決の謄本または欠格者自身が作成した証明書
●印鑑証明書
●推定相続人の廃除がなされた場合は、その旨が戸籍に記載されますので、別途書面は必要ありません。
※なお、「相続関係説明図」を作成して提出した場合には、戸籍謄本、除籍謄本等は登記完了後に返してもらえます(これを原本還付といいます)。ただし、登記原因証明情報の一部として提出された、遺産分割証明書等(戸籍謄本、除籍謄本以外の書面)、及び住民票については、その写しを添付して原本の還付を受けるこになります

費用は相続による所有権移転登記の登録免許税とそれ以外の費用とに分けられます。
①登録免許税は不動産の固定資産評価額の1000分の4です。
遺贈の場合は、1000分の20(相続人に対する遺贈であれば1000分の4)です。
② 実費としては、戸籍・住民票など相続関係書類の取寄せ費用が主なものです。
③司法書士の報酬は、相続人の数、取り寄せる書類の通数、不動産の数などにより異なります。